企業の競争力維持には「ヒト、モノ、カネ」(3M)の要素が欠かせない。しかし、近年では3Mが潤沢であっても、成長と競争力維持に悪戦苦闘する企業も多い。

高速で変化し複雑化する現代において、3Mに留意するだけで安穏としていては企業の存続すら危ぶまれる。3Mにプラスして「情報」「時間」「方法」などの要素も加味した素早い意思決定と行動こそ、“今を生きる企業”が進むべき方向性ではないだろうか? また「時間」においては顧客とのセールスタイミングだけでなく、内部の「ヒト」に対する意味合いも含まれる。対顧客オペレーションの実行メンバーだけでなく、「働き方」が問われる昨今では意思決定する上級社員にいたるまで、業務集中による過度な労働圧迫に配慮しなければならない。このような背景からITでの課題解決として、マーケティングオートメーション(MA)が注目されている。

本書は、MAの基本知識とMA活用による業務自動化のポイントを解説する。ここ数年で導入企業が増え、急成長を遂げているMA市場だが、国内においてはツールとしての「MA」が先行している感もある。企業規模を問わず、MAは正しい知見をもって導入すべきであり、導入には顧客の購買サイクルの理解や、既存の業務フローの見直しが欠かせない。MAの導入を起点としてマーケティング・営業活動の側面だけでなく、サポート・経営戦略・人事採用にいたるまで企業と顧客のあらゆる接点全体を改善していくことも可能だ。マーケティング・営業・経営企画部門にとどまらず、企業力強化と業務改善を目指す多くの方にもご一読をお勧めしたい内容となっている。