今や企業のどんな業務を取り上げてみても、必ずや何らかのシステムと絡んでいるといっても過言ではないだろう。まさに経営とITとは密接不可分。あるシステムが障害を起こせば業務の現場は滞ることとなり「一体どうなっているのか?」という問い合わせがIT部門などの管掌部門へと集中する。

こうした問い合わせはトラブル時だけとは限らない。滅多に使わないシステムの画面に向かったら操作方法が分からない、パソコンを一新した際に設定がうまくいかない、パスワード入力に何度も失敗してアクセスできなくなった…今日もまた様々な問い合わせが寄せられており、一つひとつは現場の当人にとっては緊急性を要するものだ。規模が大きく、また早期からIT活用を進めて多くのシステムを抱えている企業ほど、サポートデスク業務の逼迫という難題に直面しているのが昨今の状況である。

ここで紹介する資料は、月間約6000件(うち約4500件は電話経由)の問い合わせを受けてパンク寸前だったものを抜本から解決した大林組のケーススタディだ。ITサービスマネジメントの考え方とクラウドサービスを活用した取り組みは、単にサポートデスク業務を合理化するだけではなく、関係者全員が恩恵を享受するにはどのようなプロセスであるべきかが追求され、Webフォーム経由へのシフト、FAQによる自己解決への誘導、対応ステイタスの可視化などに結実している点で読み応えがある。

「単純にシステムを導入するだけではなく、生産性を上げるためにプロセスそのものを変えていくことが大切です。仕事の進め方や文化そのものを変革していくことがデジタル変革(DX)の本来の目的であって、システムの導入はあくまでも手段にすぎません」と登場人物が語っているように、大林組は手綱を緩めることなく次々とチャレンジを続けている。DXの目的と実現ステップという視点でも参考になる本資料は、すべてのビジネスリーダーに一読をお勧めしたい。