企業は起伏に富んだ大地を行くが如く、着実かつ高速に前進することでビジネスを成立させている。情報を集め、装備を準備し、勘に頼ることなく経験に基づき適切なルートを選択する。ときに情報不足や内外要因の変化などで、読み切れない局面も出てくるが、備えとリーダーの適切な判断で難局を乗り越えていく。

 

しかし未来を予測することは常に難しい。昨今の世界情勢を鑑みれば、COVID-19の感染拡大は誰もが予測することができなかった事象である。経験も通用せず、準備も整わないままに、世界中の企業が何らかのかたちで影響を受けている。企業によっておかれる状況は様々であり、各国で対処される制限の範囲や規模などによっては、活動の停止を余儀なくされる業種もある。一方で医療関係に代表されるように需要急増によって逼迫する業界も存在する。いずれも各自がおかれている状況から可能性を冷静に見極め、組織全体で活動を継続させるべく難しい判断を下す必要に迫られている。COVID-19の猛威はいよいよ長期戦の様相を呈し、強靱な体力を有する企業でも事業継続性に課題を抱える。あらゆる経済ショックをはね除けてきた硬質さをもってしても、COVID-19インパクトを無策で受け流すことは困難を極める。業種業界にかかわらず、企業組織は今一度、体制と装備を整え、戦略的アプローチを採るタイミングに差し掛かってきているのではないだろうか?

 

本書は、COVID-19の影響下でRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)よってビジネスの課題を克服した実例を紹介する。収録される実例は、延べ163社のケーススタディから、ライフサイエンス・医療企業、金融サービス、製造業、通信会社の5業種と人事、財務・会計、IT、コンタクトセンターの5部門で抽出され、課題、ソリューション、結果の構成で展開される。特に結果には具体的な数値なども掲載し、RPAの施策効果が明確に把握できる内容となっている。また業種と部門の2軸で展開されており、クロスすることで自社の状況に近しく適した解決法が見つかる可能性は高い。世界中の企業が現時点で直面する課題は予測に基づく防御の域を超え、すでに渦中にある。未来は誰にもわからないが、デジタルワークフォースの導入活用によって、未来に通用するビジネスを強化することは可能だ。決して折れることなく、今を生きるすべての企業人に本書のご一読を強くおすすめする。