近年はIT分野の発展が著しく、業種業界問わずIT領域の施策なくしてはビジネスがなり立たなくなっている。多方面で提唱されるデジタルトランスフォーメーション(DX)、インダストリー4.0に加え、その先を見据えたインダストリーXもデジタル変革なくして語られることはない。現在においてもデジタル技術は枯れることなく躍進を続け、近視眼的な規格争いや単一の技術追求は鳴りを潜め、技術同士が連携し合う建設的かつダイナミックな方向に世界は進んでいる。

とりわけ、第5世代移動通信システム(5G)の普及拡大はIoT(Internet of Things)と結びつくことで、あらゆる方面での革新と革命が期待される。M2M(Machine-to-Machine)通信の範囲拡大は、産業機器の深層連携や医療分野、コネクテッドカーの制御充実なども予測されるが、接続されるIoT機器の数だけでなく範囲も爆発的に増えるということは同時にセキュリティの課題も増大することを意味する。現在はスマートフォンアプリの脆弱性を突いた攻撃などの不具合は個人レベルにとどまるケースが多数を占めるが、5GとIoTの進化した近未来では企業だけでなく産業自体を衰退させ、時には人命をも脅かす可能性をも否定できない。

本書は、5GとIoTにおけるセキュリティの課題と対策について解説する。ネットワーク機器メーカーとサービスプロバイダー各社は5Gに取り組んでいる状況下にあるが、5Gでも現行世代の3G/4Gプロトコルが使用されている。本書では5Gの持つ構造性を解説するとともに、脆弱性に起因する現在のセキュリティインシデントと今後予測される課題を提起する。5G普及拡大によって活発化する開発シーンにおける具体的な対策として、潜在する脆弱性をも特定するファジング・テスト(以下:ファジング)の有用性を指摘する。また、次世代型ファジングツールの活用による、マニュアル・テストを排除した効率化を推奨する内容となっている。5GやIoTに関わりを持つエンジニアのみならず広く本書をご一読いただき、来たるべき技術革命に備え、5G、IoT、ファジングについて理解を深めてみてはいかがだろうか。