ビジネスにおける近年の潮流は、企業改革の一言に尽きる。具体的には生産性向上を土台に働き方とデジタルの二本柱で官民共に推進されてきた。実際の企業の取り組みは、デジタルを主としたへの大規模な投資やルールや制度に整備を要することから、やはり大企業中心に展開されてきたように思われる。

 

しかし新型コロナウイルス感染症の世界的な拡散によって、世情は急激に変化した。行政指導の下に外食やイベント関連等の業種は特に厳しい制約を受け、業務が滞る事態となっている。オフィスワークを主とした業種でも、感染拡大防止への対策として出勤者数削減が推奨され、経団連では緊急事態宣言期間中の出勤率を30%程度に削減と、数値目標を設定している。生産性の向上以前にビジネスを停滞させない動きが肝要なことからも、事業規模を問わず勤務形態はテレワークへと急激にシフトした今日に至っている。予算の多寡やデジタルテクノロジーへの社内保有リソースの差違を問わず、なんとかテレワークを実現させ現在も運用している企業も散見される。今までにない働き方を急速に実現したが故に不備も多く、長期化するコロナ禍から、セキュリティに対する課題や運用ルールに関する課題を指摘する話題も多くなってきている。確かに組織運用において内部統制は重要だが、設備や制度だけでなされるわけではない。企業内で業務にあたる従業員、つまりは人あって企業は体をなし、統制もなされるのではないだろうか? また、テレワーク実施によるストレスなど、新たな働き方へのメンタルヘルスマネジメントに言及する話題等も数多く展開されるが、どちらかと言えば個人に対する自助努力に終始する傾向を強く感じる。生産性と内部統制を高レベルに維持し、従業員にも配慮し、さらにテレワークにも適応する企業組織主導の取り組みこそが、ニューノーマル時代の働き方を拓き企業力を高めていくカギとなるのではないだろうか。

 

本書は、テレワークにも最適な人事支援ツールを紹介する。前述の通り、大幅な出勤率削減を提唱する経団連においてもその目標には「組織運営、新型コロナ対応にかかる部署を除く」とされ一部の層を除外していることからも、デジタル化が浸透する今日においてもテレワーク実施と企業組織運営の現実の難しさを示している。主たる対象となる社員の大半はテレワークでの勤務となっているので、評価や都度必要とされる従業員の意志・意向の確認など業務遂行には難しさが存在する。また、メンタルヘルスなど細かなコミュニケーションから人事総務側がくみ取る手法も取りにくい。本書では、中小企業にも拡がったテレワークの現状を数値と合わせ指摘するとともに、規模の大小にかかわらず人事総務が抱える課題と解消法を展開する。特にテレワークと出社制限によって出社か在宅かなど、日々仕事場が変化する状況は災害時における社員の安否確認を困難にし、BCPの観点からも歪みを抱えていると指摘される。紹介するツールは、テレワークでさらに複雑化した状況把握を、評価サポート、在籍確認、安否確認、ストレスチェック(労働安全衛生法に準拠)の各種機能で助け、活用促進や制度・環境改善に繋がるアンケート機能までも低コストにもかかわらず備えている。出社を前提としてオフィスで展開されていた人事総務業務は急激な変化から限界を迎え、見直すべきタイミングにあるといえるだろう。人事総務のメンバーはもとより、事業規模を問わずニューノーマル時代を見据える経営層にもぜひご一読いただきたい。