企業組織とは何か? 旧来から論議され、語り尽くされた感のあるテーマだが、未だ明確な答えは存在しないように思われる。利益の追求と企業成長だけで企業組織が成立するほど単純ではなく、ボードメンバーや業務内容、個人のライフステージによっても答えは異なるだろう。組織に属するすべての人が同じ人格ではないのと同様に、条件・思考も個人個人で異なっている。各所で盛んに議論される“働き方”とセットで語られる“生産性”は、個人の尊重と利益の追求のバランスという健全な潮流ではないだろうか。

 

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を契機に、多くの組織がリモートワークに初めて取り組んだのではないだろうか。第一回目緊急事態宣言が発布された2020年はリモートワーク元年といえるだろう。未だ終息はしていないが、2年経過した今日においてオフィス勤務かリモートワークか、のどちらかを一方を選択すべきか苦慮する組織も散見される。従業員への意向を確認すべく、アンケート等も組織内で盛んに実施されているようだが、多数決は必ずしも正解でも正義でもないと断言する。実はオフィスorリモートの二元論の思考には企業活動自体を萎縮させる危険性すら含んでいる。

 

本書「コラボレーションが生まれる働き方へ」は、今現在の企業組織が抱える課題を整理し、新たなあり方について提言する。本書ではハイブリッドワークを「テレワークとオフィスの良さをどちらも取り入れる」とし、メリットを「イノベーションの加速」「優れた人材の確保」「効率化と生産性の向上」と明言する。当然デジタルの活用が前提になってくるが、実現に際したマネジメントのマインドセットについても言及している。さらに日本企業特有の解決すべき課題を深掘りし、3点の課題テーマの解決に向け「Digital HQ」を提言する。Digital HQは“デジタル本社”と訳されることもあるが、単純なデジタルシフトだけに留まららず、社内外へ展開する実践企業の効果についても収録している。これからの組織と個人の関係を「ビジョンに共感した個人が、組織に価値を提供する」と巻末に明記される通り、“企業組織とは何か?”それぞれの企業が追求すべき現在の最適解へのヒントが凝縮されている内容となっている。