“ビジネスの収益は常に顧客からもたらされる”。商いの根本をなす摂理といえる。企業組織の存在の大義は“成長”にあり、収益を上げていくことで成立される。業種業態を問わず、数多くの顧客と関わること、さらにその顧客と良好な関係性を創造維持することが求められる。

 

社会情勢や時代は常に移ろい、企業が対峙する潮流は変化し続けている。顧客にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換させるのは一筋縄ではなく、そのためマーケティングが発展してきた。現代であればデジタル領域のマーケティング施策は欠かせない。特に個人を顧客とするBtoCでは細やかな施策を要し、ECサイトの構築はもとより様々なチャネルが展開される。数多くの顧客接点において近年では、企業が複数の販売チャネルを一体化し“オンラインとオフラインの自由な行き来”を提供する“オムニチャネル”のマーケティング手法が多く採られている。しかし変化に反応し進化し続けるマーケティング分野を素早く察知し“OMO”(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの統合)の手法へと歩を進める企業も出てきている。

 

OMOは“オンラインとオフラインの両方の世界の融合”を焦点とし、実店舗の体験はオンラインに、オンラインの体験は実店舗にと相互に活用される。精緻なデータの活用が欠かせず、実現には顧客データの一元化や分析体制の構築、大規模で長期的な運用などハードルは高い印象がある。本書は総合アパレルメーカーであるオンワードグループにおけるデジタル戦略の事例を採り上げる。同社はOMOを目指し2年前に大規模なリニューアルを実施し、現在のEC化率(電子商取引が占める割合)は30%に達している。本書ではキーマン2名の対談形式を展開し、掲げた構想からLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)に重点を置いた運用、データ活用の課題と施策などを鮮明に収録する。道程には、パートナーの存在とEC/OMOプラットフォームの「F.ACE」の導入が深く貢献していることにご注目いただきたい。顧客の個性・行動に基づく、利便性の高い顧客体験は確実にビジネスを強化する。本書をご一読いただき、OMO実現へと是非とも踏み出していただきたい。