近年提唱されるDXと企業改革は、事業規模を問わずあらゆる企業組織が取り組むべき項目となってきている。テクノロジーの有効活用と生産性向上は現代ビジネスに必須であり、多様性に応じた働き方や昨今の新型コロナなども相まって、軽んじる組織は皆無といえる。

 

しかし、いざDXやイノベーションを目指すにあたってアクションに迷う企業は少なくない。万能かつ明確な聖典が示されるはずもなく、企業事情や課題に対して壮大なイメージを膨らませ過ぎて具体的な一歩が踏み出せないなどのケースも散見される。核心は本業に対する“今以上”を追求し実現しようとする、確固たる企業全体の向上心に掛かってくるように思われる。また企業の経営マインドのみならず従業員が改善を実感し、良い方向に変化する職場の未来を感じとれる施策でなければならないだろう。

 

本書では、総合建築業である飛島建設のDX実例をお届けする。同社は「働き方改革」に注力し、各種支援システムの開発、テレワークやフレックスワークの充実といったデジタルと制度の両面での充実を推進してきた。多くのオフィス外の従業員が改善を享受するのは難しく、さらなる利便性の向上を摸索し、全社員を対象に「ひとり1台のスマホ環境」を整えていった。安全性を踏まえた管理や各種のユーザーサポートがなくてはならないが「ハードウェアとソフトウェアを一緒に提供している」との理由から支給デバイスをiPhoneに切り替えている。iPhoneならではの一元的に管理を行えるApple Business Manager(ABM)が活用されるが、同社はMDM(モバイルデバイスマネジメント)を組み合わせて使用し、導入している約1,650台のiPhoneにおいて、より安全で精緻で迅速なデバイス管理を実現している。利用者を管理で縛るのではなく、MDMによってDXの先鋒として1人1人の従業員が“イノベーションマインド”を発揮できる環境を実現している。単なるスマホ配布か? DXへと躍進させる契機か? 同じアクションでも運用で大きな違いが出てくるのではないだろうか。