ビジネスにおけるIT戦略の重要性は日々増している。先進企業やIT業界に限定した話ではなく、多方で叫ばれる企業DXが象徴で、この潮流はあらゆる業種業界に世界規模で伝播しているといえるだろう。IT戦略の出来不出来は企業競争力に深く関わり、仮に一定の成功を得たとしても未来永劫継続する保証はない。

 

あらゆる変化を常に察知し迅速に対応するのがビジネスの鉄則であり、継続していかなければならない。IT分野も同様であるが、急速な技術の進化と目まぐるしいトレンドの変化は群を抜いている。しかし賢明な経営判断によって綿密な戦略を打ち立ててDXを推進するも、実行の中枢を担う肝心なIT部門の動きが悪いなどの現象が見受けられる。単に自社のIT部門の“力不足”と片付けるのは早計であり、なによりも企業競争力の不可欠要素が“スタック”する事態を脱することが先決だ。

 

本書「企業のDX推進はIT部門の働き方改革から」では、今日のIT部門をとりまく状況を整理するとともに、課題を抽出し解決への方策について解説する。前述の通り、IT部門は何時も多忙だ。本書では多忙が過ぎる昨今の状況を「働き方の多様性・ビジネス環境の変化」と分析し、増える要因をあげる。また多くのIT部門が抱える「本来注力すべき業務を戦略的に遂行できていない」事態の要因を4つの課題として分類整理する。さらにIT部門のコア業務/ノンコア業務分類を筆頭にの解決の方策として3点のポイントを提示する。ノンコア業務への対処の有無がIT部門の運営を左右しているとも言える。根本は“人材”と“経営陣のIT部門への理解不足”につきる。ビジネスで効果を上げるにはIT部門の実状について理解不足ではいられない。現場はもちろん、経営層にも本書のご一読を強く推奨する。