現在はビジネスにおいて各種のデジタル技術の活用は前提であり、BtoC、BtoB問わずデジタルチャネル戦略は収益と企業成長の重要項目でもあるといえる。そして多くの企業が特出してデジタルチャネルに注力する傾向はますます高まり、かつては積極性が見られなかったBtoB企業群においても注力度はさらに高いものとなってきている。

顧客化への主軸がデジタルへ推移する理由は、「顧客行動の変化」に起因する。以前であれば「飛び込み」なども含む直接営業や展示会などのリアルチャネルが主だったが、デジタルチャネルの普及と進化が、顧客自らの興味と意志でインターネットを通じて情報収集を行い、比較~購入やクロージングへと進む行動へと変化した。読者諸氏の企業においても、Webサイトの構築・解析やユーザー行動分析を実施しているものの、見えてくるのは「人は来てはいるが成果が出ない」や「成果は得ているがコンバージョン率が低すぎる」などの課題ではないだろうか。運営等に多くの労力を費やしていることと思われるが、期待される成果は得られているだろうか?

本書は、デジタル時代の新しい接客である「デジタル接客3.0」について解説する。企業がデジタルによる情報発信を行い、デジタル上でリード(見込顧客)獲得から顧客化を目指す活動における「デジタル接客」の重要性を提唱する。仮に優れた製品・サービスであっても、リアルチャネルであれば提供側の「不親切や接客の質」にユーザーは敏感で“悪い”と判断されれば顧客化は成し得ない。同様にWebサイトに代表されるデジタルチャネルで“接客”が成されないのであれば“悪い”の判断すら存在しない「無人のショールーム」であると本書は指摘する。また、推奨元であるセールスフォース・ドットコムにおける、デジタル接客3.0の実践と獲得した効果を具体的に開示しており、広く知られる躍進企業の実例から「デジタル接客3.0」の正当性が見えてくるのではないだろうか? ある意味「デジタル接客」無きデジタルチャネルへの投資・運用は「穴の開いた水槽に水を注ぎ続ける」ような行為と思われる。コロナ禍の影響で、これまで以上にデジタル接客の重要性が増しているいま、本書をご一読いただき、デジタルチャネルへの費用対効果を高めてみてはいかがだろうか。