近年のデジタルテクノロジーによる利便性向上・効率化の追求は全領域におよび、ビジネス領域においてはDX（デジタルトランスフォーメーション）の推進が各所で提唱され、業種業界問わず取り組むべき企業改革のスローガンともなっている。

行政分野でもDXの流れをうけ、経済産業省を中心としたハンコ（押印）の廃止活動の動きも各種報道で知られることとなった。民間と比較して旧態依然とした業務手法が多く、そもそも紙ベースの内部業務が主流と思われる。一般企業では各種の社内申請・手続きのペーパーレス化は進みつつあり、紙書類は契約書などの重要局面のみに限定して利用されていくだろう。文書のデジタル化が進めば企業DXの推進力となるRPA（ロボテックプロセスオートメーション）での運用も容易となり、日常業務における人力作業の軽減につながる。しかしながら、企業努力によるぺーパーレス化が一向に進まない領域も存在する。それは、外部から紙ベースで寄せられる領収書・請求書の類だ。各種領収書にいたっては経理部門のみならず一般社員も広くかかわり、処理自体はデジタル化が進んでいても入力には紙からの転記作業が欠かせない。人手が入るほどに入力ミスも生じやすく、経理部門では紙伝票類との帳合い作業も必要としており、企業のDX推進における重大な阻害要因といえるのではないだろうか？

本書は、課題解決の一手として最新のOCRクラウドサービスを紹介する。紙に書かれた文字を読み取りテキストデータ化するOCRは以前から存在する技術だが、本書に登場するOCRはAI技術を駆使し、次世代型ともいえる能力を備えている。RPAの浸透からOCRを併用する企業も増えてきているが、事前にレイアウト設定を必要とする定型タイプが主流だ。請求書であればある程度のパターンを登録して対応できるかもしれないが、領収書にいたってはレシート形式から手書きまでレイアウトは無限に存在する。そもそも既存のOCRでは文字認識精度が低く、結局は人力での作業が伴う。当製品はフォーマットが定まっていない「特定帳票」にも広く対応し、歪みが出やすいスマートフォンで撮影された文字であっても高い文字認識精度から強みを発揮する。コロナ禍で推奨される出社制限から在宅ワークに切り替えている企業も多いが、精算や請求処理のためだけに出社する非効率なケースも散見される。ニューノーマルやDXにおいても、神髄は人がより人らしく働き生産性を高めることにあるので、すべての働く人々におすすめできる内容となっている。