電子メールが社内外を問わず、PC、モバイルデバイスを活用し、場所と時間にとらわれないビジネス・コミュニケーションの中軸となって久しい。しかしメールの活用の進化とともに、サイバー攻撃の魔手も強く、長く、巧妙に進化してきている。
周知の通り、ひとたびセキュリティ事故が自社内で発生すれば、社内だけでなく、取引先企業、エンドユーザーに至るまで直接被害が波及し、社会的信用や株価にまで大きな影響をおよぼす。当然何らかのセキュリティ対策を実施してはいるが、“サイバー魔手”の進化は想像を超えるスピードで忍び寄り、防御網を巧妙にすり抜けてくる。しかも攻撃の標的の大半はメールに向けられている。
本書は、メールセキュリティ対策の新機軸として注目される「クラウド型メールセキュリティ対策」について解説する。セキュリティ対策を盤石に進めるには、時節に則したソリューションを選定し、アップデートや専門知見に優れた人材の配置などを含めた運用最適化を持続する必要がある。さらに、万が一セキュリティ事故が発生してしまった場合にも自前で拡散防止や復旧に努めるなけばならない。「クラウド型メールセキュリティ対策」では導入負荷、運用コストの低減だけでなく、メールに関するあらゆる脅威に「多層的」に対抗する。また未知のマルウェアに対しても削除などを実施するので、アンチウイルスベンダーからの定義ファイル提出を待たずして、スピーディーに拡散を防止する。セキュリティ対策レベルとコスト・運用負荷の課題はすべての企業にとって悩ましく、落としどころも難しい。健全な企業活動を進めるためにも、本書のご一読を広くおすすめしたい。