現代のビジネスにおいて、ITの発展とともにWebでの企業情報発信はあたりまえとなり、もはやその役割は単なる告知・発表の場にとどまらない。あらゆる組織がWebサイトを所有し、拡販やブランディングのみならず、潜在層を含む全ステークスホルダーへのコミュニケーションツールとしても活用されている。

 

多種多様な役割を担い、企業組織の看板、顔ともいえるWebサイトだが“何を載せるか?”つまりはコンテンツと見せ方が非常に重要となる。ここは企業や組織の手腕が大いに問われる部分といえるが、内容以前にコミュニケーションである故の継続性・更新の頻繁さ、顔であるが故の正確さ・安全性は最低限担保されなければならない。ひと頃であればWeb制作会社などの運用を介した情報発信フローであったが、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の登場以来、企業の情報発信は迅速さをも手中に収めている。

 

企業におけるCMS活用常態化にはWordPressに代表される無償CMSの台頭が大きく貢献している。情報発信を重要視する経営判断とITスキル平均値向上が相まって、Webコンテンツの組織内運用がローコストで可能となる条件は揃ったといえる。しかし、企業のWeb担当者はコンテンツに集中できない等のCMSに対する不満を口にし、その割合は無償CMS導入企業ほど多い。本書では、ビジネスシーンにおける無償CMSの課題について言及し、脆弱性に起因する安全性・管理コスト、手軽さに起因する統制の困難さなどを整理指摘する。また、解消の方策として国内企業の構築経験から発した「とんがりクンCMS」を紹介し、良好なWebサイト運用に向けた環境構築をガイドする内容となっている。現在のCMSに課題を感じるWeb担当者はもとより、無償CMSに不満を感じていないユーザー企業であっても、潜在する企業危機への注意喚起として本書のご一読を強くおすすめする。