ビジネスは、あらゆる変化に対応することで成立する。コロナ禍では誰も正解を知り得ない状況下においても試行錯誤を繰り返し、企業はよりよい選択と取り組みによってビジネスを維持継続してきた。社会の急激な変化による外因に応じられる選択肢があったのは、テクノロジーに進化と普及に依るところが大きく、特にクラウドコンピューティングの発展が貢献している。

 

また近年の潮流である企業DXでは、より積極的な企業強化・企業革新への先鋒としてデジタルテクノロジーの重要性が提唱されてきた。企業競争力を維持・強化していく平時の企業活動においてもテクノロジーは緊密化しており、テクノロジーのトレンドをキャッチアップしていく組織としての“眼力”も重要な資質といえる。ビジネスに限定せず昨今のトレンドを見渡せば、「生成AI」への注目度は非常に高い。2022年11月に公開された「ChatGPT」は世界の一大トピックとなり、一気に生成AIの認知を広げた。自然言語処理の「検索」「分類」「抽出」「生成」中で最も難度の高い「生成」が実用レベルに到達してきていることを示している。

 

トレンドに敏感な読者諸氏においてはChatGPTを体験した方が多いと思われる。生成AIを自社業務での実践へと至るにはまだ難しいかもしれない。なぜなら、先進さばかりが強調され、具体的情報も乏しく、活用シーンにまでイメージが降りてきていない感がある。本紙「企業の業務改革を導く生成AI活用」では、Webメディア「IT Leaders」に掲載された生成AI関連記事を再編集し、成り立ち~現在~未来展望、企業向けの生成AI製品・サービス、生成AIユーザー先行実例、の3部構成で生成AIとビジネスについて整理・解説する。先進であるが故にハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)などの課題はあるが、ネガティブを補完する手法も模索されていることについても詳細に記事展開する。新モデル「GPT-4 Turbo」が発表されたことからも生成AIの進化の勢いは増している今こそ本書をご一読いただきたい。