国の施策としての訪日促進、その歴史は意外にも長い。源流となっているのが、1964年の東京オリンピックの前年に施行された「観光基本法」だ。地道な取り組みが続けられる中、時は下って2003年。当時の小泉純一郎首相が国会の施政方針演説において「2010年までに訪日外国人旅行者数を1000万人にする」との目標を掲げた。これがいわゆる「観光立国宣言」である。その後「ビジット・ジャパン」キャンペーンがスタートし、2008年には観光庁が発足。訪日外国人客やその消費動向を示す「インバウンド」という言葉も、世間にすっかり定着した

 

観光立国宣言から15年を経た2018年には、訪日外国人旅行者数がついに3000万人を突破。その勢いに冷や水をかけたのが、言うまでもなく2020年初頭からの新型コロナ問題だった。水際対策でインバウンド客は激減。旅行・観光マインドは完全に冷え切ってしまった。

 

だが2023年5月、新型コロナ感染症の法的扱いが変更(5類移行)。これをきっかけに、海外から気軽に訪日できる体制が復活した。企業・団体などが発表する各種統計資料からは、コロナ禍の苦境、そして回復の過程がありありと伝わってくる。2024年、日本はどうインバウンドと向き合うべきか? 改めて考える上でのヒントになりそうな数字をご紹介しよう。