エンタープライズIT向けのみならず一般のメディアでもAI関連の記事が目白押しだ。ともすると生成AIばかりに脚光が当たりがちだが、俯瞰してみれば、様々なAIが実務現場にどんどん浸透し始めている。ITの自動化、サイバーセキュリティ、カスタマーサービス、ビジネスオペレーションなど適用分野は枚挙に暇がない。こうした先進テクノロジを業務に取り入れていく積極性とセンスが、企業競争力に直接影響を与えることに異論は挟む余地はない。

ここで紹介する資料は、世界的なITリサーチ会社であるIDCのアナリスト(IDC Europe 在籍)が「テクノロジー戦略へのAIの組み込み:効果をもたらす5つのステップ」と題してまとめたもの。「戦略の策定とロードマップの確立」「AIの探求と活用のための明確な方針の策定」「スキルの可用性向上と運用モデルの定義づけ」「インテリジェンスアーキテクチャの定義づけ」「適切なインフラストラクチャとプラットフォームの導入」と、実効性を重視した内容になっている。

PoC(概念検証)や試作ばかりを繰り返し、大きな成果になかなか辿り着かない悪循環(Doom Loop)に陥ることに警鐘を鳴らしつつ、企業はまず、ワークフローやビジネスプロセスのデジタル化を通じてAI投資のビジネス価値を探求すべきであると説く。また、その際に重要な7つの視点<速度、効率、拡張性、アジリティ、レジリエンシー、コンプライアンス、透明性>を提示しており、大いに参考になるだろう。真のデジタル改革を成し遂げようとするビジネスリーダーには必読の書だ。