機械学習のような従来型アプローチのAIと、昨今話題で進化と実用化が著しい生成AI。ビジネスを上手く回して成功を収めるには、それら両方を積極的に取り入れていかなければならない──。もっとも、総論としては賛成でも、いざ各論に落とし込もうとした時に、ありありとしたイメージが沸かないという人が実は少なくないのではないだろうか。

ここで「AIによるITサービスと運用の最新化」をテーマに据え、具体像を示しているのが本書だ。ITサービスエージェント、IT運用チーム、一般従業員というそれぞれの立場において、業務にAIおよび生成AIを組み込む方法をユースケースを示しながら解説。例えばITオペレータの場合、「変更に伴うサービス停止の防止」「クラウドコストの管理」「リスクの優先順位付け」「事業継続性の強化」といった側面でどのようにテクノロジを活かせるかを分かりやすく説いている。

ITサービスやITオペレーションに関わる領域はかねてからベストプラクティスを探って体系化する取り組みも活発であり、各種の自動化アプローチ(≒広い意味でもAIテクノロジの活用)との相性が良いといってもよいだろう。実務現場の改革による業務品質の向上、ひいては企業競争力の向上に問題意識を持つリーダーにとって刺激に満ちた内容だ。