犯罪の少ない安全な国とされる日本。政情不安などを抱えた一部の国と比べて、治安の面で優れているのは確かだ。だがそれでも、2023年には70万件を超える刑法犯罪が認知されている。夜間に無人となる店舗の金庫が狙われたり、太陽光発電所から銅線ケーブルが盗まれる被害が多発している以上、施設を管理運営する企業は警戒を緩める訳にはいかない。
犯罪者の魔手からどうやって商品や設備を守るのか。突きつけられる現実課題への対処策として、防犯カメラ映像のAI解析の可能性を深掘りしようというのが本書である。犯罪行為の映像を証拠として残すだけでなく、映り込んでいる人物の動きを画像分析することで、迅速に異常を検知する──。これがAI警備の世界だ。
AI活用のメリットは他にもある。大規模イベントの会場などにおいて、突発的に暴力を振るう「粗暴犯」の発見にも、画像分析技術が貢献するという。さらにはドローンとの連携も有望だ。AIによる防犯カメラの進化、その動向をいち早く学ぶためにも、本書を是非ご活用いただきたい。