ビジネスプロセスの多くがデジタル化され、ITコストは今や経営の最重要課題へと変化している 。クラウドのメリットを最大限に享受しながら、同時にコストを最適化するための新たなアプローチ、それが「FinOps」だ。
近年、DXの活発化やハイブリッドワークの定着を背景に、日本企業のクラウド利用は急速に拡大している。クラウド利用は、初期費用の削減やリソースの柔軟な拡縮など、多くのメリットをもたらす。しかし、利用が活発化する一方で、ITコストが見えづらくなるという弊害も生じている。IT部門の目の届かないところで各部署がSaaSを導入したり、開発チームが無軌道にリソースを使い、コストをいたずらに膨らませたりするケースは珍しくない。このような無駄なコストの増加は、事業強化とは無関係な部分で会社の財務を圧迫する可能性があるのだ。
クラウドファーストの時代において、クラウドコストや利用状況が把握できず、最適化が図れないことは、企業の競争力に負の影響を与えかねない。この課題に対し、欧米では多くの企業が「FinOps(Finance+DevOps)」というIT運用のフレームワークを導入している。これは、クラウド支出を可視化し、財務、テクノロジー、ビジネスの各部門が協力してコストを最適化することで、ITのビジネス価値を最大化するための取り組みである。
本冊子の特集記事では、FinOpsの目的、その効果、そして実践における3つのフェーズ(情報の可視化、最適化、継続的な運用改善)について詳しく解説している。さらに、取り組みを支援する最新のITソリューションについても紹介する。クラウドコストの適正化を目指す財務担当者やIT担当者の方々に、ぜひご一読いただきたい。