現代のビジネスにおいて、データは成長を加速させる最大の原動力となっている。多くの企業が膨大なデータを蓄積し、迅速なアクセスと知見に基づいた行動を目指して投資を続けている。データの活用を推進する先進的な組織では、過去の結果を分析するだけでなく、リアルタイムのインサイトを可視化することで、未来を自ら創造し市場をリードする柔軟性を手に入れ始めている。

 

しかし、企業が目指す理想と現実は乖離しており、分析チームにはあまたの“ボトルネック”が存在し、実現は単純ではない。有意義な分析情報へのアクセスは一部の専門家に限られており、データアナリストという有限かつ貴重なリソースに質問が集中することで、分析のバックログが膨らみ続けている。意思決定者が分析結果を数週間も待っている状況も散見され、結果としてビジネスチャンスを損失するリスクが常に存在する。また、生成AIを活用しようとしても、回答の出所やセキュリティの不安、さらには「ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成)」による不正確な指標も少なからず発生することから、全般的にAIに懐疑的となり、大半の企業は導入を躊躇しているのではないだろうか?

 

本書「データ活用でより深い理解を可能にするために」では、GoogleのGeminiモデルを実装したLookerによる「会話分析」がどのように課題を解決し、組織のデータ成熟度を向上させるかについて解説する。本書の核を成す「会話分析」では、自然言語でデータに直接質問し、経営層のみならず現場のリーダーが「なぜ」や「もし~なら」と問いかければ、数秒で信頼できる回答を得られる環境を可能にする。これにより、アナリストはルーチンワークから解放され、組織全体に「データへの好奇心」が醸成される。Looker独自のセマンティック レイヤにより、ハルシネーションを抑制しつつ信頼できる情報源を確立する方法など、先進企業の4社の事例とともに、AI時代のデータガバナンスと民主化を両立させる具体的な戦略を収録するなど、充実した内容となっている。本書は、データに企業力向上を見いだす組織において、BIを最も頼れるビジネスアドバイザーへと変貌させる必読書といえる。