今日の電子商取引の発展には目を見張るものがあり、総売上の大半を電子商取引から得ている企業は、とくにめずらしい存在ではない。こうした企業の多くは、取引・売上・サービスの拡張にあわせて、サーバー・インフラの拡張・改善に務めることが多く、拡張・改善を積み重ねていった結果、現在のサーバー・インフラは初期のものよりはるかに複雑で運用が難しい状況に陥っていることがある。

システム・サービス遅延や停止は、収益の低下だけでなく、いともたやすくユーザーからの信頼を失墜させる。そのためサーバー・ネットワーク監視は、企業の生命線ともいえる重要度を帯びている。しかし「遅れない・止めない・落とさない」運用の影には、監視業務に携わる人員の“昼夜休日を問わない”貢献と犠牲の上に成立するケースも散見される。

本書は、サーバー・ネットワーク監視業務に悩める企業が、人的負荷軽減と障害予兆把握に成功し、安定したシステム運営を獲得した、ECサイトを運営する某大手工具メーカーの事例を紹介する。「人材不足」や「働き方」が叫ばれる現代社会において、単なる導入・運用事例にとどめず、企業価値を高める好例として、経営層を含む幅広い層にご一読いただきたい内容となっている。