クラウドの登場はチャレンジの扉を広く開放し、可能性を拓いてきた。所有から利用へのパラダイムシフトは業種業界を問わずビジネスに広く歓迎されている。物理的な設備に費やされてきたコストとリソースは圧縮され、同様の予算であればより大規模に安定した環境も実現できる。

 

今日ではより進化したサーバーレスがコンピューティングの主流となってきている。サーバーについて自社の準備と運用が不要で、需要に応じたスケーリングも容易になり、サーバーの存在と管理を意識することなく開発や運用に注力できる。しかし従来型のサーバー管理から解放されたといっても、まったく手放しでサーバーレス環境を実現し“利用”のメリットを享受できるわけではない。サーバーレスは新たな課題も呈しており、運用に舵を切るも当初期待されたコストバランスやパフォーマンスが発揮されないなどと嘆く企業組織も散見される。

 

本書「AWSにおけるサーバーレスアプリケーション」は、サーバーレスにおいて殊更に重要となる“監視”について主要なメトリクスを紹介し、よくあるサーバーレス問題のトラブルシューティング方法について説明する。本書では、AWSサーバーレスプラットフォームの中心となるAWS Lambdaを筆頭にAWS Fargate、Amazon API Gateway、AWS Step Functionsを俎上に載せ、各プラットフォームの役割を整理しつつ解説する。サーバーレスアーキテクチャはオンプレミスサーバーにおけるCPU使用率を容易に把握することはできず、関数と相関が要となり、監視には知見と戦略が欠かせない。タイムアウトエラーや実行時間による課金コストといった陥りがちな問題にも具体例を掲げて丁寧に展開する充実した内容となっており、本書はサーバーレスに携わる関係諸氏にとって必読必携の内容といえる。