今日、DX推進は、求められる改革に対する一手と目されている。巷では自社のDXの進度に心を砕く経営層もおられるが、DXを単なる“デジタル化”と捉えられている傾向も見受けられる。DXの当初の定義をひもとけば、“情報技術の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること”となっており、あくまで人と生活が主題であってデジタルを介した“より良い”を求む取り組みといえる。顧客の声を丹念に拾い、業務現場より課題を抽出し、広く改革への現状障壁を吟味してデジタルへと課題解消を求めていくプロセスこそ、目的を見失わない改革の道筋といえるのではないだろうか。

 

本書は、千葉ロッテマリーンズが取り組んだZOZOマリンスタジアムの管理運営における改革事例をお届けする。同スタジアムは3万人収容を誇り、顧客には安心安全にプロ野球の楽しんでもらう運営が求められる。しかし従来のアナログ型セキュリティカメラでは映像が粗く、遠くのスタンドで起こるトラブルの詳細が確認できず、確認も限られた場所でしか行えないなど、運営効率を阻害する問題が生じていた。警備人員増強でこれらの課題の解消は現実的ではなく、運営スタッフにとっても大きな負担となっていた。そこで、クラウド型セキュリティカメラ「Verkada」を選定して改革に取り組む。デジタルならではの像解析能力向上や360度広範囲監視だけでなく、人物検索や行動分析などスタジアム運営の効率性と柔軟性を大きく向上させている。

 

本書は導入前の具体的な課題から、DXの取り組みによる効果、今後の展望をも含む内容となっており、企業改革の道程を示す内容となっている。業界に問わず本書をご一読いただき、自社DXの目的の再確認にご活用いただきたい。