DXへの取り組みには様々なタイプがあるが、本流の一つは企業システムに蓄積されたデータの有効活用であろう。しかし、メインフレーム上のデータベースは、SQLが普及する前から使われている独自性の強いものが多く、データがシステム内に閉じたサイロ状態にある。そのため、必要なデータをリアルタイムに取り出し有効活用を図ることは難しい。また、メインフレームは保守・運用コストが非常に高い点も課題である。データアクセスを開放し、有効活用しながら保守・運用コストを下げることが、モダナイゼーションの基本的な方針となる。

 

従来、レガシーシステムのモダナイゼーションは、オープンシステムやクラウド環境への移行が前提とされてきた。しかし、このアプローチには、アプリケーションの全面的な書き換えと、その動作検証にかかる多大な工数とコスト、さらには可用性やセキュリティなど非機能要件の担保など、乗り越えるべき課題が多く、失敗するリスクも高い。

 

そこで注目すべきなのが、“脱メインフレーム”のリスクを背負うことなく、レガシーシステムのデータの活用を可能にする仕組みである。

 

本書では、メインフレームを残したままデータへのリアルタイムなアクセスを実現するデータ連携プラットフォームや、メインフレームのライセンス料金を大幅に削減するソリューションなどの事例を紹介している。“脱レガシー”にかかる手間とリスクを避けながらモダナイゼーションを進め、システムのビジネス価値を高めるヒントをぜひつかんでほしい。