サイバー攻撃はAIによって自動化・高速化し、攻撃者は低コストで膨大な試行を繰り返せる時代になった。一方、防御側は限られた人員で増え続ける脆弱性やアラートへの対応、判断、説明責任をになわなければならない。こうした非対称な状況では、人を増やして対応を補う従来のアプローチでは限界がある。問題の本質は単純な人手不足ではなく、複雑化する判断を個人に依存していることだ。

 

セキュリティ運用では、高度な判断が担当者の経験や知識に委ねられやすく、情報量が増えるほど対応品質にもばらつきが生じる。さらに、担当者の育成や引き継ぎにも時間がかかり、現場は目の前の対応に追われ、運用そのものを改善する余地を失っていく。本資料では、こうした状況を「処理能力の限界」、「属人化」、「戦略の不在」という三つの観点から整理し、人を増やすだけでは解決できない構造的な課題を明らかにしている。

 

そこで重要になるのが、個人の経験や勘に頼っていた判断を分解し、根拠や手順を形式知として整理する「仕組化」の考え方だ。AIに情報収集や反復作業を任せ、人が判断すべき領域に集中する役割分担を設計することで、セキュリティ運用の再現性と効率を高められる。脆弱性管理を題材に、判断材料の整理からルール化、自動化まで、仕組化を進めるための具体的なステップを知ることができる。

 

後半では、こうした考え方を実際の脆弱性診断に適用し、診断作業や画面遷移の把握、レポート作成などを自動化するアプローチも紹介している。属人的な作業を効率化することで、担当者は個々の作業に追われるのではなく、リスクの評価や対策の優先順位付けといった、本来注力すべき判断に時間を振り向けられる。セキュリティ運用を人海戦術から脱却させ、継続的に改善できるプロセスへ転換したい企業にとって、実践的な示唆が得られる内容だ。