現代のビジネスシーンでは、AIを業務に組み込むケースが増えてきている。当節、資料作成、議事録の自動生成、データ分析、画像制作など広い領域でAIの活用が注目され、AIは先進企業に限らず、あらゆる業種・職種のビジネスパーソンが日常的に触れるツールになりつつある。Microsoft 365 CopilotをはじめとするAIアシスタントの企業導入は加速し、今や差別化要因ですらなくなってきた。しかし“AIの使いこなし”については組織ごとに差違があり、企業の生産性と競争力にじわじわと影響を与えはじめている。
多くの企業組織がAIに企業力向上の活路を見いだすものの“Copilotを導入したが、動作が重くてストレスが溜まる”など、目論む効率化とは大きく乖離してしまっている。効果・実績が認められず、組織のAI推進担当者は厳しい状況に立たされる。同様のAIツールでも企業改革を成立させる組織がある一方で、差違を観察すればAIを動かすハードウェアが、AI時代のワークロードに追いついていないケースが散見される。優れたAIツールも、非力なPCの上では本来の力を発揮することはできない。投資対効果が出ない理由は、意外にもエンドポイントのPCのスペックにあることに、気づかない組織も多いのではないだろうか。
本書は、トヨタのブランディングと新規ビジネス開発を担うトヨタ・コニック・プロ社が、NPU搭載のAI PCを約800台全社導入した事例をレポートする。同社がAI PCへの切り替えを決断した事情・経緯が担当者の生の言葉で克明に綴られる。調達においては、通例的な「自社購入」から「レンタル」を選択した理由についても言及され、AI PC導入効果・現場の変化へと具体的に展開される。AI活用推進、PC調達コストの最適化、セキュリティ強化という、一見して方向性の異なる三つの経営課題は、AI PCの導入を通じて解消へと向かう。今まで定例業務であった“PCの入れ替え”は企業力強化の契機へと昇華している。本書は、IT担当者のみならず、経営判断に関わるすべてのビジネスパーソンに、AI時代に即した視野を提示する内容となっている。

