デジタル技術の進化は、ビジネスだけでなく生活にも大きな変化をもたらし、従来のものごとのスピードや正確性を高め、生産性などの向上に貢献してきた。またデジタル技術によって多くの“新価値”も創造されている。そしてデジタルの進化は、いまだ留まるところを知らない。そのためビジネス領域で健全な企業競争力を維持するためにも、読者諸氏も日々キャッチアップに勤しんでいることだろう。

一昔前であれば「Web2.0」が強く提唱されていたが、あくまでWeb領域のパラダイムシフトを促す概念だった。しかし今日ではより広域に、より深くデジタル技術を「進化」「活用」させる取り組みが常態的になり、大枠の概念ではな、具体的かつダイナミックなデジタルトレンドが多く創出されている。中でも、5G(第5世代移動通信システム)については、世界中で整備・導入が急ピッチで進行しているが、数値的な情報は散見されるものの「速い」「便利」以外、具体性をもった情報が貧しいように思われる。

本書は、移動通信の祭典として開催された「MWC19 Barcelona(スペイン バルセロナ、2019年2月25~28日)」で取材した5Gの最新動向をレポートするとともに、5Gが真価を発揮するIoT/M2Mに向けた未来予測を解説する。また「デジタル最前線」をテーマにDX(デジタルトランスフォーメーション)、デザインシンキング(デザイン思考)に関する企業の取り組みを紹介する。いずれも、ビジネス、サービス、産業、だけでなく交通インフラや労働形態までをも「パラダイム・変換(シフトではない!)」するほどのインパクトを有している。すでに各業界のトップランナー企業は取り組みを開始しており、「ゲームチェンジの時代」においても、企業力を維持継続する努力にいとまがない。デジタル技術の潮流に飲み込まれるのか? 乗るのか? 今すぐの取り組みが明日の企業価値を決めるタイミングだと断言できるので、多くのビジネスパーソンに広く、ご一読をオススメしたい内容となっている。