通信インフラは、国家・企業レベルでの研究開発がどんどん加速している。そして進化の大きなマイルストーンとして5G(第5世代移動通信)が今もっとも注目されている。読者諸氏もご存知のとおり、5Gの持つ「超大量接続」「超低遅延」はIoT指向を実現させる基盤と期待される。5Gが活用される領域は一般ユーザーの生活から経済・産業レベルに至るまで広く、大きくスタイルを革新されると予測されている。

しかし多くの人々はキーワードとして5Gを認識はしてはいるが、企業は自社のビジネスや社員の働き方について「5G」の活用や対応に、おぼろげでもイメージやロードマップは描けているだろうか? 過去には企業にOA機器が入り、スタンドアローンなワードプロセッサーからPCに進化し、今ではネットワークを前提に社員に一人一人に支給され、モバイル機器との連携も日常的に行われている。かつての進化過程は緩やかであり、当時の情報の周知手段も乏しく、導入・対応についても比較的ゆったりと構えていても問題はなかったが、現在の速度感と5Gの持つインパクトにおいては、大いに機会損失が生じる恐れもある。

本書は、2020年春に国内商用サービスが開始される5Gの「世界動向予測」「国内市場予測」「企業のロードマップ」の3つの視点からの最新レポートを収録する。5Gの潮流に乗り遅れまいとする危機感も必要ではあるが、言葉だけに踊らされていては自社のビジネス指針を見いだすことは難しい。「5G前夜」の今こそ本書をご一読いただき、大局観をもって5Gが革新するインテリジェントコネクティビティ時代に備えよう。