ビジネスを進める上で、顧客への真摯な対応とあらゆる場面での説明責任は、企業にとって何よりも重要だ。ひとたび顧客との認識に齟齬が生じれば取引の不成立のみならず、企業価値にも大きく影響する。昨今は各種の“拡散文化”も定着しているので、一人の顧客があげる不満の声であっても、大きな波となって企業価値を下げる事態を招きかねない。そして世論によって一度下がった企業価値を挽回するためには相当の時間と労力を要するだろう。
とくに重厚な法令遵守と高い透明性を要求される金融・保険業界では、営業障壁が高いだけでなく担当省庁からの指導も徹底され、「わかりやすい説明」と顧客の「意思確認」を都度確実に実施する必要がある。対面でのセールスであれば社員が担うが、Web等からの接触機会を得た顧客に対しては、やや画一的な説明も多く、例えるならば保険証書裏の約款を羅列したような企業も散見される。
本書は、CX(顧客体験)の重要性を調査データに基づき解説するとともに、金融・保険業界における具体的施策と導入事例を紹介する。ユーザーの状態をつぶさに把握し、ユーザーの視線で一人ひとりにパーソナルな企業アクションを実施することが可能となる。企業論理のみをひたすら語るセールスマンは嫌われるし、顧客の話を聞き“空気を読む”敏腕なセールスマンは実績だけでなく企業価値をも高めていく。本書をご一読いただき、御社のIT戦略上に、CX強化による“敏腕セールスマン”を迎え入れてみてはいかがだろうか?