「モノからコトへ」というフレーズをよく目にする。モノ(物体)からコト(体験)へ消費の目的が変わってきているといわれているからだろう。音楽や映画を楽しむために円盤を買う行為が主流ではなくなり、配信サービスの利用があたりまえになって久しい。さらに定額で利用できるサブスクリプションサービスが隆興してきている。モノが消費の主役でなくなっていくとしたら、モノを生む主役である製造業のビジネスモデルはどのように変わっていくのだろうか。

単に「作れば売れる」時代は終わっているが、イノベーションを起こせるのであれば新たな市場を創出できるだろう。しかしBtoBにおいては、事業戦略に基づいてシビアに実利を求められる傾向は強まっており、「モノからコト」へのシフトは激しさを増す。自ら市場にイノベーションを起こせる企業は一握りであり、さりとて市場のイノベーションを待つほど受け身でいるべきではない。さて、今を生きる製造業は、どちらを向いて進むべきなのか?

本書は、KDDI・東芝・ソラコムの異領域3社連携が打ち出す「グローバルIoTパッケージ」について、対談インタビューを交えて紹介する。製造業の抱える火急の課題に企業は「ビジネスモデル変革」と「DX」に活路を見出すものの、このふたつを並行して進めるにはきわめて困難な現実に直面する。そこでIT・通信領域におけるDXやデータ活用の仕組みに3社のそれぞれの領域を合わせ、IoTを鍵として製造業に向けたビジネスモデルの変革を促進させるエコシステムを提供する。製造業が「モノ売りからコト売り」へと大変革を遂げた実例も収録されており、製造業のみならず先が読めない今を生きる多くのビジネスパーソンにも、ぜひご一読いただきたい内容になっている。