新型コロナに翻弄され続けている2020年が終わりに近づいてきたが、未だ完全収束を宣言できた国もなく、まさに混迷の時代といえるのではないだろうか。確固たる正攻法が存在しない以上、ある種の恐れと慎重さは重要になるが、恐れは時として身を萎縮させ停滞を生む。
しかしビジネスは停滞を嫌い、常にアクティブであることが求められ、新型コロナの猛威下でも休止はあり得ない。多くの企業が情報を集め業務を継続する難しい判断を下している。その様にワークスタイルの変化が見られるなかでも、巧妙化するサイバー攻撃は止むことはない。各所でEDR(エンドポイントでの検知と対応)の重要性が提起されるように、攻撃者は在宅ワークにおける脆弱点をつぶさに見つけ出している。セキュリティ対策は企業経営の重要課題として十二分に理解浸透し、企業ネットワーク配下のセキュリティ対策においてもクラウドへの配慮するCASB(Cloud Access Security Broker)やゼロトラストなどの概念と対応も拡大されるが、新型コロナによる全方向の変化はセキュリティ対策に複雑さ・難題さを加速させている。時代が混迷であっても企業セキュリティは潮流に飲み込まれてはならず、従来型のセキュリティ対策から脱却し、時代と対峙するセキュリティ対策が今求められているのだ。複雑な難題ゆえに全能で定石な方策は存在しえないが、停滞が許されぬ以上、冷静な判断・分析と実行力が今日のセキュリティ対策に求められているので、実現には情報が礎であり、深く広く取得する姿勢が肝要といえる。
本書は、セキュリティ対策に関する実態調査をレポートする。同調査は国内500名以上の企業のシステム・セキュリティ担当者を対象に2020年10月に実施された最新の情報になる。アンケート項目の大綱は「インシデント発生時の体制」「セキュリティにおける課題」「セキュリティ対策の取り組み状況」「セキュリティ対策製品の導入について」となっており、数値とともに今を生きる企業のセキュリティ対策を明示する内容となっている。昨今の世情を踏まえた的確な質問項目と分析も展開され、セキュリティ対策の方向性を知り得る精度の高い貴重な情報といえる。システム・セキュリティ担当者はもとより、体制作りも視野に入れたセキュリティ対策を模索する経営層にもご一読をオススメする。