デジタル化が進む現代において、企業は多くの恩恵を受ける一方、常に新たな脅威に直面している。クラウド環境の拡大、リモートワークの普及など、企業のITインフラはますます複雑化し、それに伴いサイバー攻撃のリスクも高まってきている。ランサムウェア攻撃、フィッシング詐欺、ゼロデイ攻撃など、手口はより巧妙かつ悪質化の一途をたどっており、単なる防御策では対応しきれなくなっている。

 

企業のセキュリティチームが迅速かつ効率的に脅威を検出し対応することは、企業の存続に関わる重要課題といえるだろう。しかし、現場では多くの課題が噴出している。今日の企業で当然となる複数のセキュリティツールの導入は、個々が独立して動作することで情報は分断されており、アナリストは複数のコンソールを行き来しながら対応に追われることも多い。さらに各所で増加するアラートによって、優先すべき脅威を見極める事を困難にし、誤検知の対応に多くの時間を費やすケースも見受けられる。人力かつ属人的による作業の増加は、結果的に脅威の見落としや対応の遅れにつながるリスクを増大させてしまう。

 

本来セキュリティはシンプルであるべきだが、前出の課題は明らかに逆行しており、放置すべき事柄でないことは明白だ。解消には、適切なプロセスの整備と自動化の導入が不可欠であるが、慌ただしい日々の運用を抱えつつも具体的な方策を見出すことも難しい。本書『アナリスト向け:セキュリティ運用を効率化する5つの方法』では、企業のセキュリティ態勢を強化するための5つの具体的な方法を紹介していく。「クラウド・オンプレミス環境の包括的な可視化」「アラートの優先順位付けと迅速なトリアージ」「脅威インテリジェンスを活用した効果的なエスカレーションと修復」「最新のセキュリティコンテンツを活用した脅威対応」「標準作業手順(SOP)の確立による運用の最適化」の各項目で、背景と要点を簡潔に解説がなされており、即実践できる重要な内容となっている。本書をご一読いただき、シンプルかつ強硬なセキュリティ運用を目指していただきたい。