人類は自分以外の人間との連携を持つことで、大きな成果や進化を遂げてきた。連携は共同体となりやがて組織となる。目的に対して組織が体を保つにはルールが必要であり、組織内においてルールの遵守と履行は余すところなく確実でなければならない。
ビジネスにおいても、ルールなくして企業組織は成立しない。法令遵守はもとより、業界基準なども十二分に考慮した上で、社内規則、業務マニュアルによって規則や決まりごとを守り経済活動を行っている。時にルールは組織を束ねる役割以外にも、企業競争力を高める目的としても活用され、企業改革や業務改善を促進させる力をも併せ持っている。企業では業務ごとに独自のルールを設け、生産性の向上と担当者の負荷軽減に努めるケースも多々見受けられる。しかしコロナ禍における昨今の世情の変化は著しく、テレワークが常態化し、新たな勤務形態に付随する独自ルールを整備して周知徹底させる必要がある。また、オフィスワークが前提であった既存のビジネスルールは部署単位での伝承・伝聞を常として明文化されていない類も多い。テレワーク環境で業務にあたる社員は、新設されるルールも加わり、増えるルールに忙殺され、気軽に部署メンバーに手順などを確認することも難しく、孤独に負荷を高めている。ルールがネガティブに作用し、業務改善にほど遠い状況がコロナ禍にある企業すべてに潜在している。問題の核心はビジネスルールの存在ではなく運用管理方法にあるのではないだろうか?
本書は、ビジネスルールの課題に対する施策としてルールエンジンでの管理を解説する。業種業界問わず、近代のビジネスシーンに業務アプリケーションの活用は欠かせない。属人化の排除や生産性の向上を旨とし、自動化など作業者の負荷軽減にも貢献しており、当然ビジネスルールの履行も作業者が意識することなく進められる設計が求められる。しかし業務アプリケーションは大幅なルール変更や、期間限定、高頻度の変更には不向きな点も多い。本書では、業務アプリケーションからビジネスルールとなる部分を切り離して管理するBRMS(Business Rule Management System)での業務改善を提言する。BRMSの基本内容のみならず、具体的な3つのBRMS製品をウィズ/アフターコロナに直面する実状を踏まえつつ、それぞれの製品の背景や特徴を紹介する。業務アプリケーションとは異なるアプローチで軽量に業務の効率化・高度化に貢献する重要コンポーネントとして活性化が期待される。本書をご一読の上、BRMSの効果にぜひともご注目いただきたい。