“マンガ”や“アニメ”は、もはや日本作品を指し示す世界共通語として定着しつつあるほど、クールジャパンの象徴的存在になっている。ストーリー性のみならず、ビジュアル面での徹底したこだわりや美学が完成度を高め、国籍や老若男女を問わずにファンを拡大しているのは多くが知るところだ。

そして今、デジタルテクノロジーの進化が制作現場に変革の新風を送り始めている。まるで実写のような形状や質感、動き、つまりは「リアリティ」を追求するのが昨今のトレンドの一つであり、そこでは最先端の3DCG技術が駆使される。それをベースに、最終的に2次元の静止画に書き出すレンダリング処理は、制作課程の生産性に直結するだけに業界の生命線といっても過言ではないだろう。作品の高品質化に拍車がかかり、扱うデータ量は級数的に増大。だからこそ、従来の延長線上には無いブレークスルーが求められており、GPUレンダリングなどはその急先鋒として期待を集める。

では、最前線では具体的にどのような環境を構築しているのだろうか。ここで紹介する資料は、「攻殻機動隊 SAC_2045」や「ULTRAMAN」といった注目作品で知られるCGプロダクション「SOLA DIGITAL ARTS」の舞台裏を詳説したものだ。60分かかる処理を10分にしようというチャレンジは驚きに満ちている。巷間で声高に叫ばれるDX(デジタル変革)の進む先を見据えつつ、これからのコンピューティングパワーを展望するのにうってつけの内容だ。