IT技術の進化は速く不可逆的で、PCやインフラの普及に伴い、広くビジネスに欠かせない存在といえ、最新技術に基づいた製品やサービスが日々リリースされている。最新が最善であることは間違いないが、原資をもってなされた導入・リプレースがどれほど自社のビジネスに貢献し飛躍させるかはスペックシートが保証するわけではない。

仮に社員に支給するPCのアプリケーション起動が以前よりも5秒早くなったとすれば、確かに改善はされており、それは技術進化のたまものである。しかし5秒の短縮がもたらす生産性の向上が、ビジネスにどれほどの影響力をもたらすのかは疑問が残る。各所で提唱され政府が力を入れる日本版DX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流がやや勢いに欠ける要因は、自社の課題の洗い出しと具体的な目的をもって広く解決策を摸索する力の不足にあるのではないだろうか? すべての企業が0.1GHzのクロック向上がもたらすビジネス効果を見極めているわけではなく、有能なパートナーがあってこそ成されたケースも実に多い。またビジネスは継続性が伴わなくてはならず、運用や保守も重要となり、高スペックなハードウェアを導入しただけではビジネスは発展しないだろう。IT技術進化を享受し、ビジネスに反映させるには、適材適所である、適所には適者が必要といえる。

本書は、「攻殻機動隊 SAC_2045」など世界的にも評価の高いフルCGアニメーションを手がける株式会社SOLA DIGITAL ARTSの業務改革をレポートする。同社では3DCGアニメーション制作工程で多くの時間を要すレンダリングに生産性の課題を抱えていた。レンダリングはマシンパワーを必要とする工程だけに飛躍的な時間短縮の難しい部分ではあるが、本格的なGPUレンダリング環境の導入に活路を見出していた。テクノロジーアドバイザーとして信頼を置くパートナーであるシネックスジャパン株式会社の提案によって、第2世代AMD EPYC™プロセッサーを搭載し、NVIDIA® Quadro RTX™を組み合わせた「HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバー」の選択に至る。GPUとCPUの2つのレンダリング環境を1筐体に納め、Hyper-V仮想化でサーバーリソースを2分割することで性能を十分に引き出して得られた効果は、従来1時間のレンダリング処理が10分へと驚異的に生産性を高めている。

使いこなしから運用・保守まで実に見所も多く、限られた時間内で高クオリティを真摯に求む企業姿勢に端を発し、実現を支援するパートナーとハードウェアが融合するDXの好事例と言える内容となっている。DXを求むビジネスパーソンに本書のご一読を強くおすすめすると共に、自社の適材適所・適所適者を摸索する契機にぜひご活用いただきたい。