業種業界問わず、デジタルテクノロジーが企業活動に潤滑性を注ぎ課題を解消させる領域は広がっている。同時に対外的なビジネスにおいてもIT基盤とインフラが確立されていなければ競争力は発揮されない。そのため多くの企業ではIT領域の改革・改善に注力し、適切な投資を常に摸索している。

 

ITへの投資が企業の将来性をも左右する状況だが、原資の多寡によって選択の幅に差が出てしまう現実もある。パブリッククラウドの登場は所有から利用への門戸を開くゲームチェンジャーとして歓迎をもって広く受け入れられ、ビジネスITにおける近年最大のトピックのひとつといえるだろう。クラウドは躍進を続けているが、一方でオンプレミスへ回帰する動きも起こってきている。一見時代と逆行するようなオンプレミス回帰の要因を探れば、クラウド最大の魅力であったコストメリットが享受できない、回線に依存するが故にパフォーマンスが思うように発揮されない、アーキテクチャの複雑化によって運用・セキュリティに不安が生じる等々、企業状況によっては必ずしも企業力強化に貢献しない事実が散見される。クラウドは有能だが全能ではない。オンプレミスorクラウドと決めつけることなく、大局観をもってハイブリッドクラウド、マルチクラウドなど業務に応じた選択と投資を実行できる“賢さ”がこれからのビジネス優位性を築くのではないだろうか?

 

クラウドであれオンプレミスであれ、企業ITはあまたのハードウェアの上でなり立っており究極的にはすべてはCPUに帰属しているともいえる。本書では、第3世代AMD EPYCにスポットを当てパフォーマンスを解説するとともに、競合製品との比較を展開する。IT戦略では局所的なテクニックや導入ばかりの狭視野となる傾向もある。幾度となく川下の護岸工事を繰り返しようとも災害に強い都市設計は確立されないのと同様に、企業のIT戦略においても適切な投資とはならないだろう。特に川上での改善は軽微な差であっても川下で大きな効果を創出する。幅は拡がり選択の精緻さも求められる今こそ、最新のエンタープライズ向けCPUの動向についても確実に押さえておくべき項目といえる。企業競争力の維持・創造のためにも本書をご活用いただきたい。