新型コロナウイルス感染症の世界規模での感染拡大以降、社会のあり方は劇的に変化した。企業におけるテレワークも特別な勤務形態ではなくなり、今日においてはごく当たり前の光景となっている。

2020年3月13日に成立した新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく措置として、同年4月7日に7都市、続いて4月6日に全国に拡大して発令された緊急事態宣言をもって、多くの企業はテレワークを実施する必要が生じた。大半の企業は全社員を対象とした大規模なテレワークは未経験であり、就業ルールの整備、PCの調達、インフラ整備など多少の不備や不具合を抱えつつも何とか実施させたのではないだろうか? しかしテレワークについては以前より、働き方改革に伴う勤務形態の多様な選択や、2020年に予定されていた東京五輪・パラリンピックの開催期間の交通混緩和を目的に、2017年から毎年7月24日に「テレワーク・デイ」を設定して実験的なテレワークの実施などを政府は呼びかけてきた。一部企業での取り組みではあったもの、ビジネス界全体への周知浸透は軽微であったように思われる。また別軸で後期高齢化社会による親族の介護離職対策として、以前よりサテライトオフィスやテレワークの整備に独自に取り組んでいた企業もある。新型コロナウイルスに限らず、そもそも以前より企業のビジネスを停滞させる要因となる項目は常に多数存在している。事業継続の観点からも未来永劫にテレワーク業務は企業にとって必要であり、強化確立すべき項目だと再度強調したい。

本書は「ニューノーマル時代におけるPC運用・管理の課題とその解決策の一例」と題し、テレワークにまつわる課題を企業アンケートによって顕在化し、具体的な施策例を提言する。パンデミック終息時期が見えない状況が長引き、今日ではテレワークの取組にも企業間で差異が出てきている。テレワークにともなう負荷から限定した実施にグレードダウンさせる企業や、現在も環境や体制も整えぬまま大規模にテレワークを継続する組織も散見される。本書ではIT部門に業務負荷が集中される現状を明らかにし、PCにまつわる課題が調達、安全、管理の3点にあるとアンケートより導き出し分析を展開する。解決策のポイント、具体的なサービスを提案し、健全なテレワークの実施継続を広く訴求する内容となっている。ニューノーマル時代と称される昨今だが、ニューノーマルとは新たな物事への取り組みではなく、予測不能な状況でも的確に対応し、既存のものごとを前進させることを示す言葉ではないだろうか? 本書をご一読いただき、ぜひともテレワークを力強く前進させれていただきたい。