ビジネスはテクノロジーの進歩とともに変化してきた。近年はデジタルシフトの重要性が説かれて久しく、ハードウェアやサービスなど個々の性能向上を目的とした投資が随所で盛んに展開されてきた。
またデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流から、クラウドに代表されるように局所的ではなく企業組織で展開されるマクロでダイナミックな概念も加わることで、より明確なビジネス成果を求む傾向が強まっている。特に利益追求と生産性向上はすべての企業にとっての命題となり、迅速さが求められる意思決定にデータの重要度は高まるばかりだ。しかし業務随所で生成されるデータを単に蓄積するだけでは何の成果も生み出すことはない。社内各所からデータを採掘し、磨き上げられて初めてデータは輝きを放ち価値をもつ。さらに意思決定による実行が成果を結んでこそデータ活用といえるのではないだろうか? 今現在、データ活用のプロセスに課題を抱える企業は増加傾向にあり、課題を自覚していない企業も含めれば相当数におよぶと予測される。
本書は企業のデータ活用における課題とビジネス展開の勘所を指摘するとともに、トップランナー企業の導入が相次ぎ注目を集めるプラットフォームDomoを俎上に載せて具体的な施策を解説する。昨年に発生し現在進行形でもある世界的なパンデミックによって、在宅勤務は長期化・定着した。ニューノーマル時代と称されるように世情の急激な変化に影響を受けないビジネスは存在しないだろう。DXや働き方改革など、デジタルを主軸とした多様な労働環境と生産性の両立は各所で叫ばれていたにもかかわらず、業種業界によって差違はあるものの企業オフィスを離れただけでも業務効率の低下は否めない。真価を発揮するレベルに達していなかったDX施策と業務プロセスの非効率に因を発し、パンデミックによって顕著に露呈された結果ともいえる。前述の通り、データ活用のプロセスに課題も突然湧き起こった類ではないと思われる。従来は黙殺されてきた非効率さは、昨今の世情変化では増大される。ビジネスを取り巻く変化は速く激しく、今日のデータ活用は俊敏性を高める必要に迫られている。
本書で展開されるDomoでは、接続-保存-準備-可視化-コラボレーション-予測-拡張に強みを発揮し、従来のBIツールとは一線を画している。企業のデータ資産は鉱山であり、活用のプロセスを見直せば金にもダイヤにも変化し、死蔵させては意味がない。問題意識を持たずに銅を採掘し続けるのも企業の選択ではあるが、いま一度貴社のデータ活用を見直してみてはいかがだろうか。時代を生き抜く意志を持つビジネスパーソンに広くご一読をおすすめする。