今日、ソフトウェア開発は業種業界を問わず広がり、企業活動の源泉として多くの企業で展開されている。また企業規模にかかわらずエンジニアリングチームを有する企業は珍しくない。

 

ソフトウェア開発においてスピードと品質は担保すべき不変の要素であり、いかなる規模であってもこれらを死守できるのが、目指すべきエンジニアリングチーム像といえる。ゆえにデリバリーには最適なアプローチが必須だ。巷にはアプローチ手法に関する多くの情報が開示されており、大企業であるトップランナー企業の事例などを読者諸氏も目にする機会も多々あるかと思われる。仮に貴社がトップランナー企業と同規模のチーム構成と同様のソフトウェアアーキテクチャであれば成功事例として大いに参考になる側面もあるが、全く同じである可能性はかなり低い。2名構成のチームによるデリバリーと200名構成のチームによるデリバリーとは大きく異なり、同一の手法が通用するとは言い難い。ソフトウェア開発に全能なアプローチは存在せず、チーム規模や企業事情の現実と向かい合いつつ、トライ&エラーを繰り返すことが、スピードと品質の担保への施策の実状ではないだろうか? 場合によっては誤ったアプローチに進み続けるような事態もあり得る。

 

本書「スタートアップ起業家向けソフトウェアデリバリーガイド」は、継続的インテグレーション&デリバリー(CI/CD)にフォーカスし、エンジニアリングチーム規模に合わせたアプローチの有効性を説くとともに、ポイントを「するべきこと」と「するべきではないこと」に分類し教授する。エンジニアリングチーム規模は「最初期ステージ」をエンジニア数10~20名、「初期ステージ」をエンジニア数20~50名、「中期ステージ」をエンジニア数50~150名、「成長期ステージ」エンジニア数150~200名と4種に分類している。エンジニア数が明確に定義されているので、自社のステージを見誤ることなくCI/CD文化構築への道を明瞭に照らす適格な内容となっている。スタートアップ起業家にとどまらず、エンジニアやソフトウェアに未来を見出すビジネスパーソンにも運用体制の指針としてぜひご活用いただきたい。