顧客は様々な個性を持ち、比較と価値判断をもって商品・サービスの購入を決定する。自身の下した意思決定に後悔したくないのは個人・法人を問わず同様の心理であり、支払いという投資に対する価値が得られないことは何よりも避けたい。

 

近年、顧客体験というキーワードはあらゆるシーンで取りざたされる。購入前の顧客に情報をリッチにわかりやすく的確に伝えることが話題の論点になることが多いが、顧客体験は購入後のサポートなどについても広く展開されるべきである。なぜならすべての顧客接点が常に体験の場であって、購入後となれば顧客が下した意思決定に後悔の二文字を刻むことにもなりかねない。購入の前後を問わず顧客ロイヤルティを高く安定させ続けることが重要であり、長期的にも企業利益の重要要素となってくる。今日求められる顧客体験には、顧客に合わせたパーソナライズとチャネルを問わない一貫性が欠かせない。しかし360度あらゆる局面で失敗しない顧客体験を実現させるのは難度が高く、多くの企業がかかえている課題といえる。

 

本書は、購入前後の顧客体験の失敗を防ぐための施策を具体的に提言する。企業活動における顧客体験の重要度は上がり続け、オムニチャネル化も伴いカスタマーサポートも立体的な対応を求められる。本書では「顧客対応に不満があれば8割は自社を離れる」という調査結果に基づき、カスタマーサービス部門の顧客体験の重要性を説く。デジタル化による一元管理と共有が正確性、一貫性、迅速性を実現させ、蓄積によるFAQやヘルプセンターの充実によって顧客の自己解決と言う新たな軸を生み出す。また、AIチャットボットによる顧客対応をも可能とすることで、社内の負荷軽減効果も期待される。昨今は、企業が提供する顧客体験の質を顧客から常に問われる時代となってきている。本書をご一読いただき、自社の顧客体験を再度点検してみてはいかがだろうか。