近年急増したテレワークは通信環境の普及、企業のITインフラの高度化など、今日のテクノロジーあってこそ成立しているといえる。仮に10年前にパンデミックが発生していたならば、多くの企業は途方にくれてビジネスは停滞を余儀なくされていただろう。

 

事業規模を問わずテレワークへの取り組みでは、クラウドの発展が大いに貢献している。ドキュメントワークに欠かせないMicrosoft OfficeもOffice 365へと進化し、Exchange Online、Teams、SharePoint Onlineと管理・コミュニケーション・共有が強化され、堅牢で高機能なSaaSプラットフォームとして多くの企業が採用している。当然Office 365のサービス不具合によってビジネスが停止するような事態は皆無といっても過言ではない。しかし企業の情報漏洩は後を絶たず、クラウド内でのデータ消失を経験したユーザーも少なくはない。企業活動において機密情報の取扱いは特に慎重さを要し、Office 365であっても安全性の追求は欠かせないのではないだろうか。

 

本書「Office 365のバックアップが重要である7つの理由」では、Office 365のデータ管理について実態調査による課題抽出と解消への道を拓く。データが価値を持ちビジネスを躍進させる今日において、リスク回避の基本はバックアップが起点となるが、本書の調査では多くの組織がOffice 365資産のデータ保護計画を作成していない事実を明かす。機密データも多数保存されているにも関わらず放置される要因を、Microsoftサービス規約へのユーザーの誤解にあると本書は指摘する。データはあくまでユーザー所有物であり責任の所在もユーザー側にある。認識の齟齬が要因となり、データ保護を放置し、ある意味ユーザー側によって生み出される7つ脆弱性を掲げ具体的に解説する。潜在するリスクを的確に示し、より堅実なOffice 365との付き合い方を提言する内容となっており、Office 365を利用するすべてのビジネスパーソンに本書のご一読を推奨する。