現代のあらゆるビジネスにITは欠かせない。テクノロジーの活用/精通が企業競争力に強く影響することが珍しくなくなってきている。各所で提唱されるDX、業務効率化、生産性の向上はもとより、近年急増したハイブリッドワークもテクノロジーの積極的な導入・活用を前提としている。

 

その中でも、アプリケーション開発は強化すべき中核として見なされる項目といえるだろう。開発そのものの力もさることながら、スピードも求められる。スピードへの要求は市場からの様々なニーズに応える提供・運用の局面にも及ぶ。そのためDevOpsの開発手法が広く理解され、多くの組織で発展してきた。DevOpsを支援すべく、各種自動化ツールも進化するが、なによりも良好な開発環境が重要となる。クラウドの登場以降、企業のIT基盤は高度化・複雑化し、開発環境も例に漏れずハイブリッド/マルチクラウドの配下となり、開発のコア作業以前に複数の仮想マシン立ち上げなど煩雑な作業を強いられてきた。

 

DevOpsの阻害要因となる煩雑さの解消としてコンテナ活用が有効性を発揮し、オーケストレーションとしてKubernetesの成熟などスピードに直結する容易性を底上げしている。活用・発展が著しいコンテナではあるが、導入に踏みきれない企業組織も事実として多く存在する。本書「コンテナ&セキュリティ完全ガイド」では、F5ネットワークスジャパン、Red Hat、、日本ヒューレット・パッカードの3社より、コンテナを熟知し現代の企業ITを見据える3氏にご登場いただき、ITインフラ構築に関するインタビューを収録しており、それぞれの立場でコンテナの実務レベルでのメリットが図版・活用事例を交え丁寧に語られる。さらにセキュリティへの配慮を加味することで得られる容易性・スピードにも言及し、多くのコンテナに未活用企業が懸念するコストについても具体的に展開する。セキュリティの要素を開発に組み入れることでDevOpsは迅速さをさらに増し、迅速さと堅牢さを効率的に併せ持つDevSecOpsが実現されるといえるだろう。本書はコンテナ初心者の造詣を深め、コンテナ活用組織には課題解消と進化の道を拓く、秀逸な内容となっており広くご一読をおすすめする。