企業における改革・変革がブームであった時期は過ぎ、組織内に継続的実行性を根づかせなければ企業競争力維持も困難になってきた。あまたの企業が生産性向上と効率化に取り組むものの変革というほどには至らず、従来の路線上に留まるケースも見られる。
顧客状況や売り上げなどの重要項目を、BIツールを介して経営層が把握し素早い意思決定に役立てる組織も多いが、こちらはあくまで事業についての現状理解といえる。企業は業務の集合体であるがゆえに、事業をミクロに観察しても効率化は叶わないだろう。業務を変革していくにあたり、現状の業務プロセスの把握が肝要となるが、企業すべての業務プロセスを精緻に把握する人も部門も通常は存在しない。起点となる業務プロセスの把握は困難を極め、ここでのつまづきが業務変革の実行力を鈍らせている。
本書は、業務の可視化・分析などを行う新しい手法「プロセスインテリジェンス」について解説する。業務の現状把握には人力の「プロセスマッピング」、ツールを用いる「プロセスマイニング」、オペレーションを記録する「タスクレコーディング」の手法が採られてきた。しかし属人的や抽象的であったり網羅性に欠けるなど、いずれも課題を顕在化させにくい側面があった。本書ではプロセスインテリジェンスの完全性、正確性、迅速性についてFortressIQを俎上に載せ、各人の作業手順の違いも記録する精緻さや、ビジネスプロセスの検知・モデル化の自動実施などの機能とともに紹介する。タイムリーで客観性を有する現状把握は業務プロセス変革の第一歩といえるだろう。企業強化の要として本書の内容を是非とも押さえておいていただきたい。