Webサイトやサービスを利用した際に何か不明点があり自身で問題を解決しようとFAQを使ったが、結局求めている答えが見つからない、解決に至らなかったという経験は少なくないのではないだろうか。自己解決できなかった場合にサポートセンターに問い合わせるのはまだ良い方で、最悪のケースとしては、そのサービスの利用そのものを諦めてしまうユーザーもいる。FAQがその機能を十分に果たせていないとユーザーがサイト訪問の目的を達成できないだけではなく、顧客満足度の低下、ブランドや企業に対するネガティブな印象を与える結果となる。
FAQを充実させユーザーが自己解決できる環境を整えることはカスタマーサポートの効率やスタッフの負担軽減といった面でも重要だが、そのことがスピードをより重視する顧客のニーズを満たす結果をもたらしているのはFAQ充実における最大の副産物とも言える。ユーザー自身で問題を解決できるようにすることは、カスタマーサポートにとってだけではなく、ユーザー自身にとっても大きなメリットをもたらすことになるのだ。ユーザー自身が問題を解決する手段としてFAQの精度を高めるにはナレッジを共有し、それらを活用する仕組みが重要となってくる。しかしながら「ナレッジが重要」と言っても、効果的にナレッジを増やし、活用を促すことは困難な作業で一筋縄では行かない。
本書ではナレッジ共有、活用のノウハウとしてSalesforce自身の取り組みや成果を紹介する。メソッドとして参考にする「Knowledge Centered Support(KCS)」のコンセプトや「ナレッジアーティクル(ナレッジ記事)」や「ナレッジリフレッシュ」といった考え方を通じ、新しいナレッジを作成する、もしくは既存のナレッジをレビューしてアップデートするといったサイクルがFAQやカスタマーサービスにどのように反映されているかを知ることができる。企業内にあるナレッジを共有し、さらに一段階上のカスタマーサービスを提供したいと考える担当者には是非一読いただきたい内容だ。