企業のあらゆる営みは社会・顧客ニーズによって常にリデザインしていかなければならない。企業の存在目的でもある競争力・利益は現状に留まっているだけでは、維持と拡大は難しいだろう。課題を見いだし、課題を克服していくことで未来は拓かれる。

 

近年は企業活動における既存の業務プロセスを問う議論が、広くなされるようになってきた。プロセスの可視化と改善はもとより、組織体制についても見直す企業も出てきている。特にソフトウェア開発においては先進的な思考をもって体制が整備されるケースが多く、企業活動におけるソフトウェアの重要性の高まりに呼応する。開発手法の研究は盛んに展開されており、文化的な移行と部門間協力の概念であるDevOpsは今日のソフトウェア開発ニーズと相性がよいものといえるだろう。継続的デリバリーを目指し、DevOpsに舵を切る組織は増えるが、残念なことに全ての組織がアジリティ(俊敏性)とクオリティ(品質)を両立できているわけではない。一見して体制も整っていると見えるソフトウェア開発チームでも、現状に課題を見いだす必要性があるのではないだろうか。

 

本書は、テスト自動化プラットフォームであるAutifyについて機能や活用方法について解説する。DevOpsについて、∞形状の概念図から理解される読者諸氏が多いと思われる。文字通りDevelopment(開発)とOperations(運用)の連続性が特に目立つが、現実はそれだけでソフトウェア開発は完結しない。上記2点に加え、可用性にも繋がるQuality Assurance(品質保証、以下:QA)を含む3点の交差が在ってDevOpsは成立する。QAはテストの充実によって補完されるされる性質を持ち、テストはクオリティ向上に欠かせない。しかし、テストによってアジリティが犠牲になるケースも散見される。テスト自動化を採用するのが順当だが、現在採用する自動化はアジリティを実現しているだろうか? 本書が取り上げるAutifyは、AIを活用しノーコードで誰もがテストを作成・実行できるテスト自動化プラットフォームとなっている。自動化を採用しても実行に専門知識が必須であったり、メンテナンスに多くの時間を要す“属人化”は往々にして起こりがちだ。本書をご一読され、潜在する課題を見いだす契機としても是非ご活用いただきたい。