生成AIの登場は社会に絶大なインパクトをもたらした。その牽引役となったのが、ご存じ「ChatGPT」である。人間が答えているかのような自然な文章表現による対話が現実のものとなり、その応用性の高さにIT関係者のみならず、非IT系の企業も注目。いかに日常業務へ組み込むかを模索する動きが一気に加速した。
生成AIをめぐるインパクトは文章だけでなく画像やイラスト、写真の生成にも拡大している。また、米Googleの対話型AI「Bard」や同Microsoftが提供する検索ツール「Bing」へのChatGPT実装、「Microsoft 365 Copilot」の登場などのように、日常的に使用しているツールへの生成AI組み込みも進んだ。しかしながら現状は、オフィスワークの在り方が根本的に変わるのではないか、あるいは人間の営みにマイナスの影響を与えはしないかといった期待と不安が同時に入り交じっている最中でもあるだろう。業務使用における機密情報の漏洩といったリスク対策上の課題もある。
本書は、こうした生成AIとAI技術に関する取り組みを10ケースピックアップし、最新の動向を網羅的に解説している。国内の大手金融機関や自動車メーカーが、DXに取り組む中でAIとどう向き合っているのかなど、業務の効率化はもとより、生産性の向上からデータ分析への利活用に至るまで、具体的な取り組み事例が豊富に取りあげられている。AIによりビジネスのあり方が大きく様変わりしようとしている今、AIの現在地を掴むうえでも有用な資料となってくれることだろう。