文化、生活、ビジネスなど我々をとりまく社会のあらゆる局面で、AIがかかわるニュースに事欠かない。各方面で発表される新機能・新製品には“AI”の文字が踊り、重要インフラの改革にもAIが関わっている。また有名人のディープフェイク画像の被害事例もあり、“AIに仕事を奪われる”といった進化に警鐘をならし、悪用を危ぶむ声もある。

 

いずれにしても、良くも悪くもAIが物事を大きく変化させる根源であることは間違いない。しかし一般庶民が強烈にAIの恩恵を感じる瞬間はまだまだ少なく、AIに対して直接的に金銭を支払うことも少ない。先進的なイメージ作りや、製品・サービスに箔をつける用語として“AI”が乱用されている感が否めないが、読者諸氏はAIによるビジネス領域の変化が気になるところだろう。AIはビジネスの未来を拓く可能性を秘めているが、実践となると勢いは鈍化し躊躇する業務組織も多く見受けられる。まずはAIの実態・実像を適確に掴むことがが肝要ではないだろうか。

 

本書「2024年版 Zscaler ThreatLabz AIセキュリティレポート」は、調査に基づきセキュリティに限定することなく多角的にAI/ML(Machine Learning)の実態をデータ数値に基づき分析・解説する。調査は2023年4月~2024年1月にかけて、Zscaler社のZero Trust Exchangeで確認された180億9000万件のAI/MLトランザクションを分析し、地域は同ソリューションが採用される世界広域に及ぶ。AI環境に企業がどのように適応し、AIツールを保護しているのかについて、業界別および地域・国別に傾向や法的AI規制動向に到るまで、多項にわたり解説している。本書は全38ページにわたり、現在から近未来の予測にもおよぶ充実した内容を展開しており、AI/MLの企業戦略における必読・必携の一冊として推奨する。