社会におけるテクノロジーへの注目は常に熱い。古くは18世紀半ばから19世紀に起こった産業革命も石炭エネルギー活用とテクノロジーの融合による社会構造の変革といえる。現代では特にデジタルテクノロジー躍進が顕著となっており、日常生活、ビジネス、教育、医療など、多岐にわたる分野で急速に拡大している。

 

昨今のデジタルテクノロジーのトレンドを俯瞰すると、“AI”に対する注目と期待は群を抜いているのは誰の目にも明らかだろう。AIの革新は、自動運転などを筆頭とする様々な自動化の可能性を広げて現実の社会へと浸透しはじめており、チャットボットによる24時間対応のカスタマーサポートの充実や、文章・映像などのエンターテインメントにも新たに領域を拡大している。報道でも連日のように“AI”の文字がおどり、テクノロジーへの造詣の多寡に関わらず誰もが知る新時代を拓く用語としても定着され今日に至る。ビジネスとテクノロジーに関心の高い読者諸氏においては、AIに高い期待を抱いていることと思われる。では、AIに対する理解と実践はどれほど深まっているだろうか? 遠い未来の絵空事ではなく、群雄割拠の現代ビジネスを生き抜くためにも今こそ正しき理解と実践を重視すべきだろう。

 

本書「AIを活用したデータ分析でビジネス価値を創出」は、アナリストやビジネスプロフェッショナルに向けて、そもそも「AIとは何か?」という素朴な疑問から、AIの重要性、AIを活用するメリットについて解説する。そもそも“AI”とはさまざまなテクノロジーを含む包括的な用語であり実像が捉えにくい。故にAIに対して期待実現可能な範囲を超えた期待や、短期間での成果を望むなどの事例も散見される。本書では出力に基づいて「予測AI」「生成AI」の2種の定義をわかりやすく解説する。ビジネスに側面では、業種業界を問わず多くの企業が重視する“データ”における“AI”の関わりについてアンケートデータとともに洞察が展開されている。また実践への具体例としてSalesforce Tableauを俎上に載せ、近日リリースされる機能を含めて企業組織における役割と効果について言及する。業務内容に関わりなく総てビジネスパーソンに本書のご一読を是非ともおすすめする。