企業組織は収益を高めることが究極の目的だが、ビジネスは顧客の存在がなくては成立しない。BtoB、BtoCや業種、企業形態を問わず、企業活動のすべては顧客に向けた営為として集約される。競合との差別化しかり、市場優位性も前述の営為によって醸成されている。近年、企業の成長戦略では特に生産性と顧客体験が重視されるが、テクノロジーの活用を無視して語ることはできない。
企業力強化に根ざした経営判断の遂行においても同様にテクロジーが深く関わり、最新のテクノロジーを組織に習熟させ、いち早く企業活動に反映させることは、今日の企業が取り組むべき課題といえる。広義において、ITリーダー・技術リーダーの双肩に企業の未来が掛かっている。最新のテクノロジーに目を向ければ生成AIへの注目度は一際高く、大規模言語モデル(LLM)のサービス充実や先進企業における活用事例も顕著になってきた。当然にデジタル領域テクノロジーの普及拡大スピードは早く、瞬く間にスタンダードになることもめずらしくはない。しかし、現実に生成AIを活用するとなるとデータの生成量、モデルサイズ、コンピューティングなどのパフォーマンス要件は飛躍的に高いものとなってくる。
AI時代に適したビジネス環境を確保するには、既存のインフラストラクチャでは難しく、仮に不十分な基盤ままに強行に推進した場合は、近い将来にAIの取り組みが行き詰まる可能性は高い。貴社が生成AIを受け入れるのであればインフラストラクチャをゼロから設計する必要も出てくるだろう。Google Cloudの発信する本書「生成AIのインフラストラクチャを再設計する」では、堅牢な生成AIシステムを設計するために役立つ現実的なロードマップの提供と、テクノロジーリーダーが現在の組織の枠組みを超えた戦略的な意思決定を行うためのポイントについて解説する。全5章で構成される本書では、費用、スケーラビリティ、セキュリティ、パフォーマンスについても詳細に説明しており、基礎より自社の進むべき方向性が見出せる内容となっている。