DX(デジタル変革)を旗印に社内では様々な取り組みが進んでいるが、今ひとつ効果が実感できない──。そうした声が現場に渦巻いている企業は少なくない。プロセスの見直しやツールの導入などで大きく変わった部署がある一方で、その恩恵や経験知が全社的にうまく伝わっていないのだ。つまり、組織内の「情報分断」という構造課題に元凶があるといってもいいだろう。

 

ここで紹介する資料の表紙には「現場DXが進む会社は情報が循環している」とのメッセージが記されているのが印象的だ。メールやチャット、オンライン会議など、企業内では日々多くの情報がやり取りされているものの、それらは検索可能な形で蓄積されず、組織として再利用されないまま埋もれてしまうケースが多々ある。これに対し企業内に情報が流れ、蓄積され、対話によって磨かれる“情報循環“の仕組みを設計することこそが重要だというのが本書の主張だ。

 

具体例として、社内SNSアプリを業務プロセスと密接に連携させる仕組みを取り上げる。実務の現場に定着させるという観点で要件を深堀りし、それをノーコード開発のアプローチで段階的に実装していくコツを丁寧に解説。小さく始めることの重要性を説きつつ、最終的には社内情報共有基盤を基幹業務システムと連携させることにも言及しており、中長期的展望も十分にカバーしている。DXの実践や加速に悩みを抱えるリーダーに多くの示唆を与えてくれるだろう。