現代のビジネス環境は変化に富み、変化の幅も速度も大きなものとなっている。業種問わず、ステークスホルダーに高い価値を提供するだけでなく、DXに代表されるように企業組織自身の進化も同時かつ迅速に進めなければならない。故に企業組織では外向き内向きにと多種多様な目的をもった“プロジェクト”が数多く存在している。実行に際し、プロジェクトの成功に求められる条件も今日では大きく進化している。
プロジェクトマネージャー(PM)が進行管理と成功のキーとなるが、PMは単に“計画通りの進行”を遂行するだけではない。納期やコストの遵守はもとより、変化する環境と対峙してプロジェクトの目的を見失うことなく、プロジェクトを通じて高価値な成果物をステークホルダーに提供することが求められる。今日的な“プロジェクトの成功”は、柔軟かつ自律的に対応できるPMの存在があってこそ成立するのではないだろうか。しかし、PMの人材は慢性的に不足している。仮にPMを確保できても、プロジェクト成功は特定の秀でたPMのみに集中してしまい、多くの組織は“属人的プロジェクト運営”に直面してしまう。
PMの実務は多岐に渡り、柔軟性、判断力、大局的な視点なども要する。育成するにもマニュアル化や言語化も難しく、若手PMにひたすら経験を積ませる事で自然と自律性や主体性が引き出されることもない。そこで、本書「プロジェクトマネージャー育成方法」では、PMの育成について解説する。企業組織が抱える具体的な課題を洗い出し、計画的なPM育成プロセスとして「トレーニング」「OJT/メンター制度」「振り返り」「キャリアパス/評価設計」「ツールの活用」の5つの柱をベースに持続可能な育成メソッドを提言する。本書は企業成長の根幹を左右する重要な内容といえる。経営層はもとより、プロジェクトに携わるビジネスパーソン必読として本書を強く推奨する。